青年から聞いたきのこの様子は、まるで人のようで、それはそれはおかしいものでした。
でも、特別に取り扱いの難しかった金のきのこのことを思うと、それも自然に思えるものでした。
青年は、「なんだか、とっても生意気な声なんだ、」というと
きのこが歌うように呟いている言葉を翻訳してオリスに伝えてくれました。
♪ ♪
さいこう、さいこう、もうさいこう。
ここは最高だ、土は良いし湿気も良い。温度も良い。
水もいい。いやぁ、この森がおれ様が住むのには最高だ。
森に来る人間は 大人しいヒゲモジャのオリスだけ。
安心安心。この場所が最高だ。
おれ様だって 偉そうにしているだけじゃない。
北の町のみんなが長く生き生きと生きてる理由は
みんなおれ様を食べてるからさ。
さいこう、さいこう、もうさいこう。
きのこは地球に生まれた森のお医者さん。
金のきのこは、神のきのこ。
♪♪
きのこにヒゲモジャと言われてることを知ると
ムッとしたオリスでしたが、
長い間知りたかった北の町の長寿の秘密を知ることができて、
スッキリした気持ちになりました。
この発見を町の人に知らせよう、
長寿の秘密がきのこにあったことがわかれば、外の町の病人も助かるかもしれない、とオリスは思いました。
オリスが町の役場に行こうと準備をはじめると、
青年は 故郷から小包が届く予定のようで、
また数日後 ここで会うことを約束して早々に去っていきました。