それから
何度も何度も季節がめぐり
少年は 画家になりました。
画家、といっても 山や海を描く人ではありません。
なぜ白い鳩と少年が出会ったかといえば、
その日偶々その場に居合わせたのではなかったのです。
少年は 金の雫の祠から少ししたところに住んでいましたが、
この祠に 並々ならない縁を感じていて、
暇さえあれば 祠のそばにいて絵を描いていたのでした。
おじいさんとおばあさんのもとへ出かけた後も、
少年は祠のそばに居続け、
この祠にお参りをする人、元気になって感謝を伝えにやってくる人の話を聞きながら
皆に起きた驚きの出来事を 絵にして表現しているのでした。
主人公はもちろん、「金の雫」・・いいえ、今はもうその名ではありません。
少年が画家として活躍はじめた頃、一人のお坊さんがこの祠にやってきて言いました。
「数々の奇跡を起こしてこの国を平和にした この祠、金の雫に
まるで 仙人のように生きる機会を与えてくれる露、「仙生露」と名付けましょう」
それから 金の露は仙生露として、
画家の絵を通じて 世の中にどんどんと知れ渡っていくのでした。